2021年12月23日

お知らせ

【新年のごあいさつ】新たな体制で、強固な対がん活動の展開を!

公益財団法人 日本対がん協会会長 垣添忠生

 

明けましておめでとうございます。
新型コロナウイルス感染症の蔓延による困難な状況は、変異株の登場もあり、なかなか先が見通せない状況ではあります。しかし、新しい気持ちで新年を迎えましょう。
 
日本対がん協会グループとして60年以上展開してきたがん検診事業もコロナ禍で大きな後退を余儀なくされました。現在、みなさまの受診勧奨のご努力や予約制の導入などで少しずつ回復しつつあるとはいえ、2021年上期のがん検診受診者数はコロナ前の2019年同期より17%減でした。これは本来発見されるべきがんが減ることを意味します。それは、多大な損失であり、個々人の人生に与える影響は甚大です。また、国民の健康を守る一翼を担う当協会グループにとりましても、大変な事態と申せましょう。
 
日本対がん協会グループの検診受診者数減のニュースは、我々だからこそできる迅速な情報発信であり、NHKはじめマスコミの注目を集めました。改めまして、御協力いただいたグループの皆様に御礼申し上げます。
さらにその後、がん関連3学会(日本癌学会、日本癌治療学会、日本臨床腫瘍学会)の「新型コロナウイルス(COVID-19)対策ワーキンググループ(WG)」と合同で全国の病院調査を実施し、早期のがん患者の減少も明らかにできました。当協会グループの存在意義に対する世の中の見方は確実に変わってきています。
 
わが国も含めて世界のがん対策は以下の4本柱で構成されています。すなわち、予防、検診、治療、緩和ケアです。なるべく医療費の増大を抑えながら国民をがんから守るには、予防と検診に注力することがもっとも合理的なアプローチと申せましょう。
予防では、ワクチン接種と禁煙の重要性を揺るがせにできません。特にHPVワクチンについては、国が9年ぶりに積極的な接種勧奨を再開することを決定しました。女性を子宮頸がんから守るうえで誠に喜ばしいニュースです。
禁煙においても、タバコ産業のイメージ戦略に負けない、より訴求力の高い活動を行っていく工夫が求められるでしょう。
 
検診によるがんの早期発見は、年間100万人ががんとなり、38万人が亡くなっている現状を考えますと、重要性がいや増します。医師として進行がんで亡くなる方々の悲劇を数多く目にしてきた私は、がん検診に対してはとりわけ強い思い入れがあります。加えて、私自身が大腸がんと腎臓がんを早期発見できたおかげで今日があるのです。
 
日本対がん協会グループにおいても、これからのがん検診には、人口減少と高齢受診者の増加、新しい検診技術の導入、支部データのデジタル化など、多くのチャレンジが待ち受けています。
治療ではゲノム医療の定着、新薬の開発や新技術の導入などは患者さんの希望に繋がります。問題は医療費の高騰が待ち受けていることで、予防と検診に注力することはわが国が世界に誇る国民皆保険制度を守るうえでも重要です。
 
日本対がん協会本部は昨年11月末、築地市場跡近くのコンパクトな事務所に移転いたしました。テレワークの定着を見据え、さらに事務所費用の縮減により貴重なご寄付を少しでも対がん活動に役立てるための決断でした。
 
様々な新しい状況でスタートした本年が皆様にとって良き年となりますよう!