2022年04月28日

お知らせ

コロナ禍の影響 60歳以上に顕著な傾向 受診者数、がん発見数ともに大幅減
日本対がん協会支部実績から

公益財団法人日本対がん協会(垣添忠生会長)は、グループ支部が2020年度に実施したがん検診の状況をまとめました。新型コロナウイルス感染症の影響で、5つのがん検診(胃、肺、大腸、乳、子宮頸)の受診者数はコロナ禍前の2019年度から約2割減、がん発見数も2~3割減となりました。どちらも60歳以上で傾向が顕著になっています。
 
支部は46道府県にあり、うち神奈川、静岡、岐阜、大阪を除く42支部が自治体、事業所などから委託されたがん検診(住民検診、職域検診、人間ドック等)を実施。日本対がん協会は各支部の実施状況を年度ごとに集計しています。
  
2020年度の受診者数は5つのがん検診全体で延べ826万4591人となり、2019年度の延べ1009万794人から18%減少しました。検診別では、乳がんが延べ95万943人で22%減、肺がんは延べ256万68人で20%減、子宮頸がんは延べ99万7192人で20%減、胃がんは延べ155万6765人で18%減、大腸がんは延べ219万9623人で14%減となっています。
 
受診者数の推移を住民検診、職域検診で比較すると、住民検診では胃、肺、乳、子宮頸で20%台後半の減少率となりました。一方、職域検診では胃、肺、大腸で受診者数が増えました。住民検診は高齢者の受診が多く、新型コロナの感染リスクが高い高齢者が受診を控えたとみられます。職域検診では労働安全衛生法で事業所に義務づけられている従業員の健康診断と併せて実施するケースが多く、新型コロナの影響を受けにくかったと推察されます。また、グループ支部の検診は集団検診が多く、感染リスクの「密」を避けるため、個別検診へ移ったことも受診者減の背景にあると考えられます。
 
受診者数の推移を年齢別にみると、60歳未満は10%前後の減少でしたが、60歳以上では20~30%減と減少率が大きくなりました。とくに胃がん、肺がん、大腸がんの各検診はその傾向が顕著でした。乳がん検診は全年齢で20~30%減少し、高齢になるほど減少幅が大きくなっています。
 
2020年度はがんの発見数も2019年度と比べて20~30%減少しました。がん検診で受診者数減少が顕著だった胃がん、肺がん、大腸がんは、高齢になるにつれて発見数も多くなります。高齢者の受診者数減が、がん発見数の減少にも影響したと考えられます。
 
がんは早期に発見できれば治る可能性が高い病気であり、がん検診では多くの早期がんが見つかっています。日本対がん協会は引き続き、「コロナ下でもがん検診は必要です!!」のメッセージを強く発信していきます。