愛知教職員組合連合会養護教員研究集会
佐瀬一洋・順天堂大教授ががん教育の講演
2017.8.19
講演:佐瀬一洋先生
人数:養護教員約300人
愛知教職員組合連合会養護教員研究集会が8月19日、名古屋市の吹上ホールで開かれ、日本対がん協会と各地でがん教育を実践している佐瀬一洋・順天堂大学大学院教授が「モデル授業の経験から学ぶがん教育への感謝と期待~医師として、患者として、子どもを持つ親として」と題して講演した。文部科学省が今年度からがん教育の全国展開を始めたのを受け、がん教育を具体的にどう進めていくのかなどを学ぶのが狙い。愛知県内の小中高の教職員組合の養護教員約300人が参加した。
佐瀬教授は7年前に悪性骨軟部肉腫という希少がんを患いながらも、多くの人に助けられ、生かされていることへの感謝を示し、その経験をもとに「少しでも社会に恩返しをしたい」と、がん教育を始めたきっかけを紹介した。
佐瀬教授が初めて中学校にがん教育の授業に出向いたのは3年前。授業ではいつも三つのメッセージに絞り込んで実施してきたことを説明。一つはがんが身近な病気で、不治の病ではなくなったが、まだ手ごわい病気であること。二つ目はがんついての正しい情報を身につけられるようにすること。三つ目に、命と思いやりの大切さを学ぶこと、を挙げた。 そのうえで、日本対がん協会や文部科学省が公表しているがん教育のDVD教材などもうまく活用しながら授業を進めることをアドバイス。「知識自体を教えるのががん教育ではない」としながらも、「がんの予防と早期発見に関しては力を入れて授業をしてきた」として、たばこを吸わないことや検診を受けることを両親に伝えてもらうことを強調してきたと説明した。ただ、その際に「がんになった人は生活習慣が悪い」というような指導をしないよう、配慮を求めた。
一方、がん教育の実施については先生を一人にしないよう、学校や教育委員会、医師会、患者会などが連携できる組織だった体制を作ったうえで、進めていくことを訴えていた。