神奈川県立横浜清陵総合高等学校

2016.11.14

講師:成松宏人先生

人数:3年生 30名

日本対がん協会は11月14日、神奈川県立横浜清陵総合高等学校でがん教育の出張授業を実施した。講師はがん予防の専門家である成松宏人・神奈川県立がんセンター臨床研究所がん予防・情報学部部長で、「知っておきたいがんの知識」-がんの予防から治療まで-と題する授業を行った。
同校はキャリア教育プログラムに力を入れている単位制の高校で、授業のカリキュラムもユニークだ。今回の出張授業は「健康ライフ」という科目の授業時間を使って行われた。担当する長瀬巳奈教諭は家庭科の教諭だが、「調理実習など通常の家庭科の内容以外にも、柔軟にカリキュラムが組めるんです。今回のがん教育の他、心理学の専門家による出張授業、ヨガなども企画しています」と話す。
授業は2時限通して行われた。1限目は成松先生による講義、2限目は講義の続きとグループワーク、対がん協会が完成させたばかりのがん教育用アニメ教材「よくわかる!がんの授業」の視聴を行った。
成松先生はまず「がんとは何か」からわかりやすく解説。がん細胞ができる仕組みやがんの症状は多様なことを説明し、がんの3大治療法などを紹介。今ではほぼ100%の人ががんと告知されることや、その時の患者さんの心境をつづった文章を読み上げると、生徒たちは驚いたように聞き入っていた。
続いて専門の「予防」の話に移り、食事、喫煙、運動などの生活習慣に関する一次予防を「がんにならない新12か条」を例に引いて解説し、「当たり前のことを当たり前にやることにつきる!」と強調した。
がん検診の大切さも詳しく説明。がん検診のメリット・デメリット、がんのステージごとの5年生存率などをわかりやすく説明した。参加した30人ほどの生徒たちのほとんどは女子だったが、小林麻央さんのがん闘病のニュースなどで関心が高まっているようで、活発に質問をして熱心に聞いていた。
2限目には、生徒たちが5人ほどのグループにわかれて、成松先生が出した「みなさんができるがん対策を提案してください」という課題に取り組んだ。①誰を対象に②どんなことをしますか?③それはどんな効果が期待できますか?という難しい課題だったが、生徒たちは熱心にディスカッションし、グループごとにまとめて発表した。
最後に日本対がん協会の本多昭彦がん教育担当マネジャーが、対がん協会の取り組みを紹介し、アニメ教材「よくわかる!がんの授業」を上映すると、「かわいい!」などと声があがり、がんについてのクイズの答えに興味を示していた。
授業後に生徒が書いた感想にも「がん検診、超大切!家族にも伝える。」「がんにならないための予防は一般的にあたり前のことばっかりだけど、わたしたち若い子はその当たり前のことができてない気がする。自分は気をつけたい。」「がん検診の後が大切だと分かった。親に話す。早期発見、早期治療が大切と分かった。」「もっと一人ひとりががんについての知識を身につけるべきだと思った。」などと頼もしい言葉が並び、長瀬教諭も「私が思っていた以上に生徒たちの反応があった。生活改善につながってくれれば」と話していた。