神戸市の中学校で、がん教育モデル授業を開催~歌手でがん経験者の松田さんが講演~
兵庫県神戸市垂水区の歌敷山中学校で2015年12月11日、日本対がん協会の協力で、がん教育のモデル授業が開かれました。講師は歌手で子宮頸がん経験者の松田陽子さん。会場の武道場には1年生6クラス約220人や父母、神戸市の保健福祉局や教育委員会の関係者らが集まりました。
同校は命の大切さを考える授業を、今年秋から連続して行っており、松田さんのモデル授業もその一環として実施されました。
松田さんは幼少の頃のことやがんの体験談を語りました。子宮頸がんを患ったのは31歳の時。「生き長らえる確率は半々」と医師から言われたそうです。それでも「生まれたばかりの娘のために絶対に生きよう」と思ったといいます。
治療を続けたが、気分がすぐれず、つい夫に厳しい言葉で当たったりすることもあったそうです。「私は精神的に強くタフな方だと思いますが、それでも、がんになると弱いところが出てくる。がんというのは、そういう病気なんです」。そんな苦しみを経ながら乗り越えた経験を、生徒に熱っぽく語りかけました。
松田さんは世界の難民支援もしています。きっかけはスリランカを訪問した時に見た光景でした。内戦の時で、子供たちが何キロも離れた所まで水を汲みに行っており、その水がどろどろの水だったといいます。「子供が病気になるはずです。私はきれいな水を飲んで、ご飯を食べて、がんで死ぬかもしれないと言われていたのが、生かしてもらっている。以来、自分のことで悩むのは、やめようと思った」と話しました。
さらに、「がんになった宿命を使命に変えて、がん予防を訴えている」と何度も言い、「みなさん、家に帰ったら、お父さんやお母さんに、がん検診に行ってね、と言ってください」と呼びかけました。
講演を聞いた生徒は「がんになってもあきらめない松田さんの姿勢に感動しました」「印象的だったのは宿命を使命に、という言葉です。僕の使命はまだ見つかりませんが、見つかったら頑張りたいです」「家に帰ったら、父母に必ずがん検診を呼びかけます」と発言しました。
モデル授業の後、松田さんをはじめ玉田敏郎校長、神戸市教育委員会や同市保健福祉局の関係者、日本対がん協会が懇談会を開きました。その場では、がんの知識、命の大切さを子供のころから教える重要性を語り合いました。