教員向け「がん教育モデル授業の講習会」を開催しました。

 岩手県内の小中高教諭らを対象にした「岩手県学校保健講習会」が10月30日、盛岡市で開かれました。参加者は、同県の養護教諭を中心とした106人。「がん教育」などの実践内容を県内全域に広げることが狙いです。

 岩手県立西和賀高校でこの8月、がん教育モデル授業(協力:日本対がん協会)の講師を務めた順天堂大学大学院医学研究科の佐瀬一洋教授が、同校での授業内容や今後のがん教育の進め方について講演し、続いて同県西和賀町立湯田小学校の有馬美保子教諭が、西和賀高校のモデル授業を受けて、町内2つの小学校でがん教育を実施したことを報告しました。

 佐瀬教授は、がんを患った自らの体験を踏まえて、「教師の皆さんはまず、命の尊さを生徒に教えてほしい。そのためには、がん検診、がん予防が大事だ」と話しました。さらに岩手県では、がん検診の受診率は全国的に高い水準にあるものの50パーセントに届いておらず、特に乳がん検診は近年、受診率が低迷している現状を説明し、「これは授業でも重点的に触れてほしい」と呼びかけました。その上で西和賀高校では、①高齢化でがんは身近な病気になったが、不治の病ではない②多くのがんは予防と早期発見が大事③1人で抱え込まず他人に相談することや思いやりの気持ちが大事、の3点に絞って授業をしたことを報告しました。

 有馬先生は、「児童が抵抗なく考えられ、思いを語れるような授業、児童が欲しい情報を分かりやすく伝え、これからの生き方を考えられる授業を目指した」と狙いを説明。「資料の選択については悩んだ」と話しながらも、がんの基礎知識や、がんは身近な病気であり、予防や早期発見の大切さを教えたことを報告しました。

20151030_盛岡講習会