日野高校で授業/東京都日野市
2023.12.19
講師:阿蘇敏之職員
人数:2年生約約320人
日本対がん協会は2023年12月19日、東京都日野市の都立日野高校が実施したがん教育の授業に協力し、がんサバイバーの協会職員が講師を務めました。がんに関する正しい理解や患者・家族らがんと向き合う人たちへの共感を深め、健康と命の大切さを学ぶことなどが目的といい、2年生約320人が参加しました。
講師は、がん患者・家族の支援やがん征圧をめざすチャリティ活動「リレー・フォー・ライフ」を担当する阿蘇敏之職員。20歳のとき、結婚直前に精巣がんが見つかり手術を受けました。結婚後、2児の父になり、仕事などで忙しくがんだったことを忘れていた43歳の時、激しい腹痛や腰痛が起こり、転移による後腹膜胚細胞腫瘍とわかりました。
阿蘇職員は闘病経験を語る中で、がんが発生する仕組み、化学療法、外科手術、放射線治療など治療法の種類や選び方などを説明し、がん告知や転移再発後の治療中の気持ち、周囲の支えなどについて語りました。治療中は、抗がん剤の副作用で脱毛や食欲がないなどで体力的、心理的につらい時期もあったそうですが、家族や知人、医療従事者らに支えられて「ひとりじゃない」と思え、子どもの成長や家族旅行などの目標をもって治療を続けたといいます。
がんは早期発見と適切な治療ができれば約9割は治すことができ、早期がんはがん検診で見つけられます。ただ、検診で見つけられない場合もあります。阿蘇職員は「もし体調に気なることがあれば医療機関で診察してもらおう」とアドバイス。また、「これからの人生では色々な事がある。思ったことは声に出し、周りに伝えてほしい」と話しました。
質疑応答では、がんに関する情報を調べる方法について質問が出ました。阿蘇職員は「まずは主治医に聴くことが大切」と話し、がん診療連携拠点病院や日本対がん協会の相談窓口の利用も紹介しました。また、抗がん剤の副作用で食欲がない時の食べ物に関する質問には、医師や看護師、管理栄養士らと相談しながら、温かい食べ物から冷たい麺類などに変えたり、食感の良いものにしたりとメニューを変えることで気分転換を図ったと説明しました。
最後に、子どもの結婚式を迎えた時の気持ちを聴かれた阿蘇職員は、がん告知を受けて「生きていられるのか」と不安だったこと、最初の治療方法を選んだ時の医療スタッフのことなどが思い出されて「人生で一番、生きていて良かったと感じました」と振り返りました。その上で「みなさんも、大切な人へ想うことがあれば伝えられる時に伝えてほしい」と話しました。