よくある質問
大腸がんは早期に発見して治療すればほぼ治癒が可能です。
大腸がんの死亡数は食生活の欧米化もあり、死亡者数は年々増加しています。近年、女性では死亡数のトップとなっています。
大腸がん検診の用語Q&A
大腸がん検診の問診とは
便潜血検査(化学法・免疫法)とは
S状結腸鏡検査とは
S状結腸鏡検査と便潜血検査の併用
全大腸内視鏡検査とは
大腸がん検診の問診とは
最近の身体の調子や病気に関する質問があります。
現在の体の具合やこれまでにかかった病気のこと
家族にがんになった人がいるかどうか
これまで検診を受けたことがあるかどうか、受けていたらどんな判定や診断があったのか
便潜血検査(化学法・免疫法)とは
大腸にできたがんが便とこすれて血液が混じることがあります。排出された便の中に血液の反応があるかどうかを調べ、出血がないかどうかを確かめる検査です。出血があったからといってがんだというわけではありませんが、身体のどこで、どんな理由で出血が起きているのか調べるため、精密検査が必要になります。便潜血検査には、1日法や2日法があり、1日のうちに2回、便を採取したり、もしくは2日に分けて2回採便したりして調べます。
化学法や免疫法というのは、検体の処理の仕方の違いによるものです。ただ、化学法だと処理する薬剤の関係で、便を取る3日前から薬剤の制限や肉や野菜、鉄分などの食事制限が必要になります。その欠点を補うものとして1980年代に日本で開発されたのが免疫法です。免疫法ではヒトのヘモグロビンを使うため、食事制限はないうえに効果は化学法同等以上といわれていて、広く使われるようになりました。
便潜血検査(化学法・免疫法)のメリット
死亡率減少効果を示す十分な証拠があります。
便検査のため、身体には負担がかかりません。
検査が比較的安価に行えます。
便潜血検査(化学法・免疫法)のデメリット
便潜血検査が、必ずしも大腸がんの診断に結びつくとは限りません。
便潜血検査のほかにもさまざまな検査法があります。ただし、2004年度の厚生労働省研究班がつくったガイドラインでは、便潜血検査法以外は、S字結腸鏡検査や、S字結腸検査と便潜血検査(化学法)との併用法、全大腸内視鏡検査などは、集団を対象とした対策型検診としては勧めていません。ただし、個人を対象とした任意型検診として行うことは可能だとしています。
S状結腸鏡検査とは
日本人の大腸がんで最も発生率の高い直腸とS状結腸に内視鏡で観察する検査です。検査前に内容物を出してから、肛門から内視鏡(小型カメラ)を入れ、50~60センチの範囲まで観察します。特に食事制限等が必要になることありません。死亡率減少効果を示す十分な証拠があるとされていますが、内視鏡検査を行ううえでのリスクなどから、集団検診の一次検診への利用はすすめられていません。
S状結腸鏡検査のメリット
死亡率減少効果を示す証拠があります。
カメラで観察するため、小さな病変部だけでなく、出血なども詳細に観察することができます。
日本人の大腸がんが最も多く発生する部分を重点的に観察するため、その部分に限れば効果的な方法といえます。
S状結腸鏡検査のデメリット
内視鏡が届く範囲(肛門から50~60センチ)を超えた部分については、効果は認められません。
確率的にはとても低いのですが、内視鏡を入れることで感染したり、大腸を傷つけて出血したり、大腸に穴を開けてしまうなどの可能性がゼロではありません。
S状結腸鏡検査と便潜血検査の併用について
S状結腸鏡検査と便潜血検査化学法を両方行い、どちらかに「要精密検査」と判定されると二次検診(精密検査)を行うという方法です。S状結腸鏡検査を行うので、この検査も集団検診の一次検診への利用はすすめられていません。
S状結腸鏡検査と便潜血検査の併用のメリット
S状結腸鏡検査、便潜血検査ともに、単独では死亡率減少効果があると証明されています。
死亡率減少効果のある検査を併用することで、相乗効果が期待できます。
S状結腸鏡検査と便潜血検査の併用のデメリット
主なデメリットは、それぞれ単独で行った場合と同様のものが考えられます。
死亡率減少効果がある検査を併用することでどの程度効果が上積みされるかは、現段階では証拠がなく不明です。
全大腸内視鏡検査とは
肛門から内視鏡を入れて、盲腸から結腸、直腸に至るまで大腸すべてを観察する検査です。腸管洗浄剤を飲んで大腸の内容物を出してから、大腸の動きを抑えたり、分泌液を少なくするための鎮痙剤(ちんけいざい)を使い、内視鏡で観察します。
死亡率減少効果を示す相応の証拠が認められていますが、薬剤による副作用やカメラを入れることによる出血や大腸に穴を開けてしまう「穿孔(せんこう)」の可能性もまれにあるため、集団検診の一次検診への利用は勧められていません。二次検診(精密検査)や少人数を対象にした個別検診では、薬剤の使用や検査による不利益を事前に十分に説明したうえ、検査は緊急時の対応が可能な施設に限定されています。
全大腸内視鏡検査のメリット
死亡率減少効果を示す相応の証拠があります。
検査範囲が大腸全体にわたるため、広い範囲での検査が可能です。
カメラで観察するため、小さな病変部だけでなく、出血なども詳細に観察することができます。
全大腸内視鏡検査のデメリット
確率的にはとても低いのですが、内視鏡を入れることで感染したり、大腸を傷つけて出血したり、大腸に穴を開けてしまうなどの可能性がゼロではありません。
鎮痙剤などを利用するため、薬剤による副作用があります。