朝日がん大賞・日本対がん協会賞
「朝日がん大賞」は日本対がん協会賞の特別賞として、朝日新聞社の協力で2001年に創設されました。対象分野は、日本対がん協会の活動の柱である「がん予防」全般とし、がん征圧に向けて優れた実績をあげて社会に貢献し、かつ、第一線で活躍している個人・団体を顕彰します。将来性のある研究の発掘、医療機器類の研究・開発、患者・治癒者の活動やケアなどの分野も対象としています。
「日本対がん協会賞」は対がん活動に顕著な功績のあった個人及び団体を顕彰して、がん征圧運動の一層の高揚を図ることを目的としています。
朝日がん大賞
2025(令和7)年度の受賞者
「がん疫学研究による国内外のがん対策への貢献」
井上 真奈美(いのうえ・まなみ) 59歳 国立がん研究センター がん対策研究所 副所長
がん予防対策を効果的に行うための優先順位付けにおいて、日本で初めて標準化された手法を用い、日本人のがんに対する各要因の人口寄与割合を系統的に推計。喫煙とがん関連感染症をターゲットにした予防対策が最優先だと科学的に示し、国のがん対策推進基本計画などの科学的根拠となった。がんに限らず、高血圧と喫煙が日本人の死亡の二大要素であることなどを客観的に示し、日本人の健康寿命延伸のための健康施策の根拠にもなっている。研究と対策・政策の橋渡しとなる科学的証拠の創出には、基になるデータの理解が必須だが、国や県のがん研究機関、大学という異なる立場・視点での経験を生かし、がん対策につながる成果を発信してきた。国際がん研究機関(IARC)の科学諮問評議会議長を務めるなど、世界のがん疫学研究のけん引役でもある。これまでの功績に加え、今後の活躍が期待される。
「朝日がん大賞」 過去の受賞者
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日本対がん協会賞
2025(令和7)年度の受賞者・受賞団体(4個人、1団体)
◇ 個人の部 (50音順)
兵庫県
伊藤 一夫(いとう・かずお) 78歳 兵庫県健康財団理事
放射線科専門医として長年にわたり兵庫県での健診(検診)実施体制の拡大に尽力し、肺がんなど各種疾病の早期発見に努めた。定年後も兵庫県健康財団の保健検診センター参事(読影担当)としてX線画像診断を数多く担当し、早期がん等の発見に努めるとともに、同財団画像専門委員会の委員長として若手医師や診療放射線技師への指導を精力的に行うなど、がん検診の精度向上に貢献した功績は大きい。
兵庫県
岡村 信介(おかむら・しんすけ)76歳 姫路市医師会診療所 医師
1994年から姫路市医師会が運営する子宮がん検診車による集団検診に継続して出務し、医療機関が少ない郡部での子宮頸がん検診の受診率向上に貢献。1998年4月~2013年3月に同医師会集検(子宮)委員会副委員長として、受診率向上のため積極的に講演会などに協力した。HPV検査単独法の導入を受け、行政と医療機関との調整役として中心的な役割を担い、実施体制の構築に努めた。
北海道
長瀬 清(ながせ・きよし) 87歳 北海道対がん協会 名誉会長
北海道大学付属病院を経て1983年に札幌市に内科医院を開業。北海道対がん協会では2014年に会長に就き、がんや生活習慣病の予防、治療に関する知識の普及啓発、検(健)診の実施、調査・研究などに積極的に取り組み、道民の健康増進に寄与した。北海道医師会では地域医療の推進や時間外救急医療体制の強化に尽力。2007年に会長となり道民の医療・保健・福祉の向上と医師会発展に貢献した。
福井県
松田 一夫(まつだ・かずお) 69歳 福井県健康管理協会 がん検診事業部長
30年以上、健康診査を通して県民の健康福祉の向上に貢献し、県内の一元的ながん検診の推進、受診率の向上、精度管理の維持・向上の中心的役割を担う。コロナ禍でも健診、がん検診の重要性に鑑み、感染対策の徹底を指揮し、積極的に受診者を受け入れた。がん検診の専門家として、国のがん対策推進協議会などの委員を務め、国や福井県のがん対策にかかわる施策の推進に大きく貢献した。
*いずれも年齢は2025年9月1日現在
◇ 団体の部
秋田県
あけぼの秋田(佐藤清子代表)
1988年から乳がん患者同士の交流、情報交換の場として手術を受けた患者や家族を支える活動を行い、患者のQOL(生活の質)向上や社会復帰のサポートに尽力。患者や家族、乳がんが心配な人を対象にしたサロン、専門医や保健師らの勉強会や相談会を開き、行政や医療機関の評価は高い。「秋田県の乳がん死ゼロ」をめざして乳がん経験者の講演、専門医とのがん教育授業にも取り組んでいる。
日本対がん協会賞 過去の受賞者(個人)
日本対がん協会賞 過去の受賞者(団体)
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《2025年度 選考委員会》
副委員長 大内 憲明(東北大学大学院 医学系研究科 特任教授、東北大学名誉教授)
選考委員 梅田 正行(日本対がん協会 理事長)
(50音順) 佐野 武(がん研究会有明病院 病院長)
津金 昌一郎(国際医療福祉大学大学院 医学研究科 公衆衛生学専攻 教授)
辻 外記子(朝日新聞東京本社 くらし科学医療部 部長代理)
松本 吉郎(日本医師会 会長)
《2025年度 選考委員会》
垣添 忠生(日本対がん協会 会長)
<副委員長>
大内 憲明(東北大学大学院 医学系研究科 特任教授、東北大学名誉教授)
<選考委員(50音順)>
梅田 正行(日本対がん協会 理事長)
佐野 武(がん研究会有明病院 病院長)
津金 昌一郎(国際医療福祉大学大学院 医学研究科 公衆衛生学専攻 教授)
辻 外記子(朝日新聞東京本社 くらし科学医療部 部長代理)
松本 吉郎(日本医師会 会長)
※1968(昭和43)年度の第1回からの受賞者・団体名を記載した2025年度版の名簿は、以下よりダウンロードいただけます。