検診の意義と目的
子宮頸がん細胞は、原因となるHPV(ヒトパピローマウイルス)の感染から5~10年以上かかって増殖するといわれています。
定期的な検診により、細胞の異常を発見することができます。
1.子宮頸がん検診の意義と目的
子宮頸がんの一次検診で用いられる「子宮頸部細胞診」は科学的に一定集団の死亡率減少効果があると証明された方法です。
子宮頸がんの原因となるHPV(ヒトパピローマウイルス)に感染してがんになるまで5~10年以上と言われます。その間、細胞は少しずつ変化し、がん化していきます。定期的に検診を受けることでがんになる前の段階で診断することが可能です。また、早期がんのうちに発見して治療すれば、ほとんど治癒が望めますので早期発見は重要です。
多くの先進国では、ほぼ例外なく子宮頸部細胞診による検診が行われています。欧米での受診率は高く、たいていの国で70~80%といわれます。一方、日本では過去1年以内に受けた女性は28.3%(国民生活基礎調査、2016年)にとどまっています。
子宮頸がん(女性)の臨床病期別5年相対生存率
臨床病期 | Ⅰ | Ⅱ | Ⅲ | Ⅳ | 全症例 | 手術症例 | 病期判明率 | 追跡率 | |
子宮頸 | 生存率 | 93.6% | 82.2% | 67.9% | 26.5% | 3,843 | 2,137 | 98% | 97.8% |
※【5年相対生存率】 がんと診断された場合に、治療でどのくらい命を助けられるかを示しています。がんと診断された人のうち5年後に生存している人の割合が、一般の日本人の5年後の生存率と比べてどのくらいなのかをパーセントで表しています。
出典:全がん協加盟施設の生存率共同調査
全がん協部位別臨床病期別5年相対生存率(2011-2013年診断症例)
上の表にあるように、がんが発見できても臨床病期(進展度、ステージ)が進んでいる状態で見つかった場合はそれだけ5年生存率が下がってしまいます。そのためにも、早期がんのうちに発見して治療することが重要になります。
2.子宮頸がん検診の現状
日本対がん協会が2017年度に全国の支部で行った子宮頸がん検診の結果では、受診者数は127万5963人、うち精密検査が必要と判定された人(要精検者)は1万9155人(要精検率1.50%)、この中で精密検査を実際に受診した人(精検受診者)は1万6026人(精検受診率83.66%)。この検診を通してがんを発見された人の数は174人、その割合は0.01%でした。
一方、日本対がん協会が2017年に全国の支部で行った子宮体がん検診の結果では、受診者数は2万3119人、うち精密検査が必要と判定された人(要精検者)は232人(要精検率1.00%)、この中で精密検査を実際に受診した人(精検受診者)は203人(精検受診率87.50%)。この検診を通してがんを発見された人の数は37人、その割合は0.16%でした。
子宮頸がん検診を1万人が受診すると、150人が「要精密検査」と判定され、精密検査(二次検診)を受けるように勧められます。精密検査を受けた人は125人でした。そして、125人の中から1人に子宮頸がんが発見されたという割合になります。
子宮体がん検診を1万人が受診すると、100人が「要精密検査」と判定され、精密検査(二次検診)を受けるように勧められます。精密検査を受けた人は87人でした。そして87人の中から16人に子宮体がんが発見されたという割合になります。
3.科学的根拠に基づいた子宮頸がん検診の方法
子宮頸がんの一次検診では、一般的に「子宮頸部細胞診」を行っています。この方法は、「一定の集団の子宮頸がんによる死亡率を減少させる」という子宮頸がん検診の目的に合致すると科学的に証明され、実施することが勧められています。
最終更新日:2022年10月5日