2020年12月25日
お知らせ
【新年のごあいさつ】困難を乗り越え 強固な対がん活動の展開を!
公益財団法人 日本対がん協会会長 垣添忠生
明けましておめでとうございます。
新型コロナウイルス感染症の蔓延による困難な状況のため、皆様も新年を素直に慶ぶ気持ちにはなりづらいかもしれません。
日本対がん協会グループとして60年以上展開してきたがん検診事業もコロナ禍で大きな後退を余儀なくされました。現在、予約制の導入などで少しずつ回復しつつあるとはいえ、通年では例年に比べて4割近い受診者減が予測されています。本来発見されるべきがんが5000件近く減少することになります。それは、多大な損失であり、個々の人生に与える影響は甚大です。国民の健康を守る一翼を担う当協会グループにとりましても、大変な事態と申せましょう。
今こそ、原点に立ち返って、当協会が何のために63年前に設立され、何を成し遂げるべきかを深く考える必要があります。協会の設立趣意書では「がんに関する知識を広く国民の間に啓発し、早期発見の施設の拡充普及をはかることが刻下の急務」などと述べられています。この宣言の根幹は、現代にあっても少しも色あせていません。
わが国も含めて世界のがん対策は以下の4本柱で構成されています。すなわち、予防、検診、治療、緩和ケアです。国民をがんから守るには、予防と検診に注力することがもっとも合理的なアプローチと申せましょう。
予防では、ワクチン接種と禁煙の重要性を揺がせにできません。特にHPVワクチンについては、より接種を促すような啓発が求められます。このままでは先進国の中で日本だけが、子宮頸がんに苦しむ女性の増える国になってしまいます。
禁煙においても、タバコ産業のイメージ戦略に負けない、より訴求力の高い活動を行っていく工夫が求められるでしょう。
検診によるがんの早期発見は、年間100万人ががんとなり、38万人が亡くなっている現状を考えますと、重要性がいや増します。医師として進行がんで亡くなる方々の悲劇を数多く目にしてきた私は、がん検診に対してはとりわけ強い思い入れがあります。日本対がん協会グループにおいても、これからのがん検診には、人口減少と高齢患者の増加、新しい検診技術の導入、支部データのデジタル化など、多くのチャレンジが待ち受けています。「困難は解決されるためにある」という強い気持ちを持って、この難局を乗り越えていきましょう。
本年が皆様方にとって良き年となりますよう!