2025年01月08日
報道向け発表
HPVワクチンに関する調査報告
発表のポイント
・2008年度生まれのワクチン接種率は57.1%
・接種のきっかけは「家族に勧められたから」
・定期接種世代の接種に向けた啓発が必要
・接種のきっかけは「家族に勧められたから」
・定期接種世代の接種に向けた啓発が必要
調査の背景
日本では、2013年にHPVワクチンの定期接種が始まりましたが、厚労省審議会で「ワクチンとの因果関係を否定できない持続的な疼痛がヒトパピローマウイルス様粒子ワクチン接種後に特異的に見られたことから、同副反応の発生頻度等がより明らかになり、国民に適切な情報提供ができるまでの間、定期接種を積極的に勧奨すべきではない」とされました。これを受けて、2013年6月14日に積極的勧奨差し控えが厚労省健康局長名で通知されましたが、これ以降も審議会などで議論が進み、2022年4月に積極的勧奨は再開されました。また、停止期間中に接種の機会を逃した人を救済するために、キャッチアップ接種も進められています。
キャッチアップ接種対象=1997年度生まれ~2007年度生まれ(1997年4月2日~2008年4月1日生まれ)の女性
定期接種対象=小学校6年~高校1年相当の女性(2008年4月2日~2013年4月1日生まれ)
こうした状況を受けて、世代ごとの接種状況や意識の違いを探り、ワクチン施策に反映させることを目的に、「HPVワクチン」(ウェブアンケート調査)を実施しました。
キャッチアップ接種対象=1997年度生まれ~2007年度生まれ(1997年4月2日~2008年4月1日生まれ)の女性
定期接種対象=小学校6年~高校1年相当の女性(2008年4月2日~2013年4月1日生まれ)
こうした状況を受けて、世代ごとの接種状況や意識の違いを探り、ワクチン施策に反映させることを目的に、「HPVワクチン」(ウェブアンケート調査)を実施しました。
調査の概要
公益財団法人日本対がん協会(垣添忠生会長)は、HPVワクチンをめぐる状況を調べるために、2024年10月16日~10月18日にウェブアンケート調査を実施しました。対象者は、定期接種世代の小学6年生~高校1年生(2008年4月2日~2012年4月1日生まれ)については母親の代理回答。16歳~27歳(1997年度~2007年度生まれ)の女性。回答数5335サンプルを得ました。
調査の主な内容
HPVワクチンの定期接種世代の接種実態
定期接種対象の世代では、「接種経験あり」が、2008年度生まれが57.1%と6割近くとなった。2008年度生まれ(2008年4月2日~2009年4月1日生まれ)については、25年度に定期接種対象から外れるが、1回接種、2回接種の人も多く、厚労省は1回でも接種経験がある人は25年度もキャッチアップ接種対象にする方針で、接種率がアップする可能性がある。
年代が上がるに伴い、接種経験も増える傾向にあり、今後、定期接種世代の接種率がさらにアップすることも期待される。若年層へのさらなる啓発が必要とされている。
「シルガード9」「ガーダシル」「サーバリックス」の接種回数は計3回だが、シルガード9の場合は、15歳になるまでに1回受ける場合は計2回になる。
年代が上がるに伴い、接種経験も増える傾向にあり、今後、定期接種世代の接種率がさらにアップすることも期待される。若年層へのさらなる啓発が必要とされている。
「シルガード9」「ガーダシル」「サーバリックス」の接種回数は計3回だが、シルガード9の場合は、15歳になるまでに1回受ける場合は計2回になる。
HPVワクチンの全体の接種実態
子宮頸がんの認知・理解度
HPVワクチンの認知・理解度
HPVワクチン接種のきっかけ
HPVワクチン接種のきっかけは「家族に勧められたから」が最も高く、48.7%。次いで「国や自治体からHPVワクチンに関する情報を提供されたから」24.2%。2004年度生まれ(19-20歳)~2007年度生まれ(16-17歳)で「家族に勧められたから」が10ポイント以上高く、2008年度生まれ(15-16歳)以降では、「情報提供計」が10ポイント以上高かった。
HPVワクチンの認知経路
HPVワクチンの認知経路は「周囲の人の話」が最も高く、30.5%で、「自治体からの郵便物」27.8%、「テレビCM」22.6%が続いた。特に2004年度生まれ(19~20歳)~2007年度生まれ(16~17歳)で「周囲の人の話」がTOTALと比べて10ポイント以上高かった。
キャッチアップ接種の認知経路
HPVワクチンのキャッチアップ接種の認知経路についても、「自治体からの郵便物」「周囲の人の話」が最も高く、同率で26.8%だった。
HPVワクチン接種について相談した相手
HPVワクチン接種を相談した相手は、TOTALでは「母親」が最も高く52.4%。次いで「友人」が10.9%。
HPVワクチンへの不安点
HPVワクチンへの不安点は「ワクチン接種への副反応」が最も高く、53.3%。以下、「ワクチン接種の安全性」31.4%、「注射を打つこと・痛み」27.9%が続いた。
まとめ
厚労省は、各年度の接種時年齢ごとの接種者数を全国の市区町村から報告を受け把握している。ただし、接種時年齢が同じでも生まれ年度(学年)が異なる場合があるため、大阪大学産婦人科学の上田豊講師のグループはこうした違いを補正し、生まれ年度ごとの接種率を割り出している。
2024年11月27日に開催された厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会予防接種基本方針部会では、24年度の速報値(上半期)が報告された。
https://www.mhlw.go.jp/content/10900000/001340022.pdfopen_in_new
上田講師は「我々の解析とも合致する傾向で信頼できる。背景を含めた今回のような各年代の多数の人を対象にした調査は例がなく貴重だ。ワクチン接種をした人が多数派になると、さらに接種しようという人も増えるのではないか。ただ、定期接種世代の接種はまだまだ低い。WHOの掲げる90%にはまだまだ遠い。さらに普及推進策を進めていく必要がある」と話している。
2024年11月27日に開催された厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会予防接種基本方針部会では、24年度の速報値(上半期)が報告された。
https://www.mhlw.go.jp/content/10900000/001340022.pdfopen_in_new
上田講師は「我々の解析とも合致する傾向で信頼できる。背景を含めた今回のような各年代の多数の人を対象にした調査は例がなく貴重だ。ワクチン接種をした人が多数派になると、さらに接種しようという人も増えるのではないか。ただ、定期接種世代の接種はまだまだ低い。WHOの掲げる90%にはまだまだ遠い。さらに普及推進策を進めていく必要がある」と話している。