2025年10月06日
お知らせ
【開催報告】2025年度 がん征圧全国大会 兵庫大会「ひょうごから 未来へつなげる がん対策」
がん征圧月間にちなみ、2025年度がん征圧全国大会兵庫大会が9月19日、神戸市中央区のポートピアホールで開かれました。日本対がん協会と兵庫県健康財団(日本対がん協会兵庫県支部)の主催。全国のグループ支部、行政・医療関係者ら約500人が一堂に会し、科学的根拠に基づくがん検診の推進、がん患者・家族の支援、正しい知識の普及啓発などの対がん活動への思いを新たにしました。
兵庫県での全国大会開催は1991年以来2回目。第58回の今大会は「ひょうごから 未来へつなげる がん対策」がテーマ。前日の9月18日は神戸ポートピアホテルで記念シンポジウムがあり、日本での組織型がん検診の導入に向けた課題についてグループ支部のがん検診担当者や医療、行政の専門家が事例や現状を解説し、意見を交わしました。

阪本佳一 理事長

垣添忠生 会長
全国大会では、兵庫県健康財団の阪本佳一理事長が「がんになっても希望をもって暮らせる社会の実現をめざし、皆さんの熱意と行動がわが国のがん対策を切り拓く力になることを願う」と開会のことばを述べました。
また、日本対がん協会の垣添忠生会長が「全国大会を機に、明日からさらに本部と支部が一体となって、がん征圧に取り組んでいきたい」とあいさつしました。
続いて、2025年度日本対がん協会賞などの表彰式が行われました。日本対がん協会賞(個人の部、団体の部)と、その特別賞である朝日がん大賞の表彰式が行われ、両賞の受賞者に日本対がん協会の垣添忠生会長から表彰楯と副賞が贈られました。

日本対がん協会賞を受けた皆さん。(左から)伊藤一夫、岡村信介、長瀬清、松田一夫の各氏。あけぼの秋田・佐藤清子代表に代わって賞状を受けた秋田県総合保健事業団の戸堀文雄理事長
日本対がん協会賞は、個人の部で兵庫県健康財団理事の伊藤一夫氏(78)、姫路市医師会診療所医師の岡村信介氏(76)、北海道対がん協会名誉会長の長瀬清氏(87)、福井県健康管理協会がん検診事業部長の松田一夫氏(69)の4氏が受賞。それぞれの地域でのがん予防や住民の健康増進、がん検診による早期発見と受診率向上、精度管理の向上、国のがん対策への貢献などが評価されました。
団体の部では、乳がん体験者でつくる「あけぼの秋田」(佐藤清子代表)の1団体が受賞。垣添会長からそれぞれに表彰楯などが贈られました。1988年から乳がん患者同士の交流、情報交換場を提供し、患者のQOL(生活の質)向上や社会復帰のサポートなどに貢献しました。この日は、佐藤代表に代わり、秋田県総合保健事業団の戸堀文雄理事長が出席しました。

朝日がん大賞の井上真奈美氏(右)と中村史郎・朝日新聞社会長
2025年度の朝日がん大賞は、国立がん研究センターがん対策研究所副所長の井上真奈美氏(59)が受賞しました。井上氏は、国のがん対策の優先順位づけで、日本で初めて標準化された手法を用いて日本人のがんの要因の人口寄与割合(どの要因を除くと、がん患者を何パーセント減らせるか)を推計し、喫煙とがん関連感染症の対策が最優先かつ最も有効だということを示すなど、疫学研究から国の健康施策の科学的根拠を創出しています。さらに、国際がん研究機関(IARC)の科学諮問評議会議長を務めるなど、世界のがん疫学研究のけん引役でもあり、今後の活躍が期待されます。表彰式では、朝日新聞社の中村史郎会長から表彰楯と副賞100万円の目録が贈られました。
受賞後、井上氏は「エビデンスに基づくがん対策が社会で実装されるには研究者だけでなく、行政の政策決定者、現場の医療従事者、医療保険従事者、国民の協力が重要。今後とも皆さんとの共同作業を一緒に進められるよう支援をお願いします」と述べました。
また、2025年度がん征圧スローガン「健康は 予防と検診の 二刀流」作者の物江一榮さん(宮城県対がん協会)と、グループ支部の永年勤続表彰75人の代表として宮脇朋子さん(鳥取県保健事業団)に対し、垣添会長から表彰状が贈られました。
記念講演は、タレントの堀ちえみさんが「ステージⅣの舌がんを乗り越えて生きる~キャンサーギフト・大切な家族~」と題し、自身の闘病体験とその中で受けた家族や仲間の支えを振り返り、感謝と生きることへの想いなどを語りました。
次回の2026年度がん征圧全国大会は秋田県で開かれる。開催地を代表して、秋田県総合保健事業団(日本対がん協会秋田県支部)の戸堀文雄理事長は「兵庫大会のように素晴らしい大会となるよう準備を進めたい。秋田県の文化や食にも親しんでいただき、より良い大会になれば」とあいさつし、多くの参加を呼びかけました。