2013年07月09日
お知らせ
子宮頸がんワクチン(HPVワクチン)をめぐる厚生労働省の勧告に対する考え方
平成25年7月8日
公益財団法人日本対がん協会
副作用が指摘されている子宮頸がんワクチン(HPVワクチン)の接種に関して、厚生労働省は6月14日付で、「積極的な勧奨とならないよう留意」することを求める勧告を都道府県知事にあてに出しました。公益財団法人日本対がん協会は、厚労省の勧告を重く受け止め、その趣旨に沿ってがん征圧活動を展開していきます。
子宮頸がんワクチンの接種をめぐって、政府は2010年秋に緊急接種促進事業を開始。Hib、肺炎球菌の両ワクチンとともに接種が推奨されてきました(子宮頸がんワクチンの接種対象は小6~高1のうち最大4学年に相当する年齢の女子)。そして今春、予防接種法が改正され、Hib、肺炎球菌の両ワクチンとともに、子宮頸がんワクチンも定期接種の対象に含まれました。
これは、世界保健機関(WHO)が、予防接種プログラムに組み込むよう各国に勧めていることなどを勘案した対応でした。がん征圧という観点から、とくに若い女性において発症率が最も高いがんである子宮頸がん対策に、この決定は大きな効果を示すものと期待されていました。
日本対がん協会でも、こうした国の政策に沿って、子宮頸がんを減らすため、従来勧めてきた子宮頸がん検診の受診とともに、子宮頸がんワクチンの接種を勧めてきました。
しかしながら、子宮頸がんワクチンを接種した人たちが増加するにつれて、複合性局所疼痛症候群(CRPS)という副作用(副反応)が相次いで指摘されるようになってきました。
このワクチンは現在、2種類が承認され(2009年と2011年)、販売されています。承認審査の時点においては、痛みや腫脹等はあっても、CRPSが相次ぐという状況は国内にも国際的にも報告されていませんでした。
副作用の報告について、厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会副反応検討部会ならびに薬事・食品衛生審議会医薬品等安全対策部会安全対策調査会の合同会議で検討され、ワクチンとの因果関係を否定できないCRPSが特異的に見られたことから、「発生頻度等がより明らかになり、国民に適切な情報提供ができるまでの間、定期接種を積極的に勧奨すべきではない」という結論に至りました。
厚労省の今回の勧告はこの結論を受けた対応です。同時に厚労省は、専門家による研究班を組織し、子宮頸がんワクチンと副作用の関係について、徹底的に調査することにしています。
日本対がん協会は、合同会議での議論やそれを受けた厚労省の対応を深く受け止め、この研究班の活動ならびに今後の厚労省の検討・判断等を注視しながら、がん征圧活動を進めていきます。
今回の勧告では、子宮頸がんワクチンの接種を中止したわけではなく、定期接種の対象から外したわけでもありません。定期接種の希望者への周知を呼びかけるとともに、「接種機会の確保を図ること」を求めています。日本対がん協会としても、子宮頸がんワクチンに関する情報が必要だとお考えの方々に対しては、可能な限り最新の情報を入手して提供していきます。
子宮頸がんを患う女性は増加する傾向にあります。特に20代後半から30代で目立っています。経済協力開発機構(OECD)加盟国の中で最も低いレベルにある我が国の子宮頸がん検診の受診率の向上を図り、国のがん対策推進基本計画が目標とする50%の達成をめざします。
今後とも日本対がん協会の活動へのご理解・ご支援を賜りますよう、お願い申し上げます。
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