2016年02月16日

お知らせ

UICC世界対がんデー公開シンポジウムが佐賀市で開催されました

小学生からのがん教育で活発な議論
UICC(国際対がん連合)世界対がんデー公開シンポジウム開催

 「国際対がん連合(UICC)世界対がんデー2016公開シンポジウム」が2月6日、佐賀市で開かれ、300人以上が集まりました。テーマは「小学生のがん教育とがんの子ども」で、子どものころからがん予防の姿勢をはぐくむ重要性が指摘されました。
 主催はUICC日本委員会と日本対がん協会で、佐賀県医療センター好生館の全面的なバックアップで開かれました。シンポジウムは、小児がんをテーマにした第1部「小児がん、生きる」、がん教育のモデル授業現場からの報告をテーマにした第2部「生きる喜び、命の大切さ」、さらに第3部「予防」に分けて行われました。
 第1部では、北川知行・UICC日本委員会委員長が「小学生のがん教育を中高生と分けて推進すべきだ。中高生からでは遅いと言わざるを得ない。小児がんと闘う仲間を温かく支援すべきだ」と発言し、稲田浩子・佐賀県医療センター好生館小児科部長は「小児がんの多くは治る病気になってきた。治癒後の社会生活が大事だ」と述べ、自ら小児がんを経験した林志郎さんは「がん教育は予防の観点だけでなく、がん患者や家族が傷つかない配慮を」と要請しました。
 第2部では、長男を小児がんで亡くした前川育さんが自らの経験を振り返りながら「小学生のがん教育は生きること、命の大切さ、思いやりの心を学ぶことです」と強調しました。さらに、文部科学省のがん教育モデル推進校でもある佐賀県武雄市立川登中学校の土岐洋二教務主任は「小学校でも教えることが可能」と発言しました。患者の立場から学校でのがん教育授業講師を務めている三好綾さんは、自らの授業内容を紹介した後、「患者だとリアリティーで伝えられる。患者の語り手を要請していきたい」と意気込みを語りました。
 第3部ではまず、武雄市立若木小学校の菖蒲彩教員が、同校で実施している食育授業を紹介。天野慎介・全国がん患者団体連合会理事長は、がん教育で配慮すべき事柄について説明しました。
 これらの講演を受けて、垣添忠生・日本対がん協会会長は「小学生のがん教育については、長期的かつ多面的に取り組むことが大事だ。命の大切さを伝えるというのが根幹の部分で、小学生に一種のマナーのように伝えていければ」と、締めくくりの発言をしました。