2016年03月02日
お知らせ
兵庫県で教員向け「がん教育研修会」を開催しました
兵庫県教委が教員向け「がん教育研修会」を開催
――県内の教員・教育委員会の担当者ら120人が参加
講師の奥仲・国際医療福祉大教授、小西日本対がん協会元マネジャーらと意見交換
がん教育は、どのように進めていけばいいのだろうか――兵庫県教育委員会は2月1日、教員や県内自治体の教育委員会の担当者らを対象にした「がんの教育に関する研修会」を神戸市内の県民会館で開催しました。文部科学省の事業に沿って中学生や高校生を対象にしたがん教育のモデル授業が広がっているものの、まだ教材もなく、教育現場には戸惑いもあります。兵庫県教委では新年度、文科省が作成中の「教材(ドラフト)」の使用を検討するなど中学生向けのモデル授業を進める方針です。
研修会には教育委員会の担当者のほか、保健体育や養護を担当する教員ら約120人が参加し、日本対がん協会の兵庫県支部(兵庫県健康財団)からも2人が出席しました。
講師は、奥仲哲弥・国際医療福祉大学教授(山王病院副院長・呼吸器センター長)。「がんに関する教育~学校におけるがん教育の取組について」と題し、これまで小学生に向けて実施した禁煙教育やがん教育の授業を基に講演しました。ときに、先生たちを「生徒」に見立てて、「日本では年に何人ががんで亡くなっているでしょう?」「最も多いがんは?」など、基本的な質問を投げかけながら、どうすれば子どもたちが興味深く授業を受けるかという、がん教育のポイントを先生たちにアドバイスしました。
その一つとして、奥仲教授も悩んでいるのが、治療の映像の扱い方。最新の肺がんの胸腔鏡手術の様子をビデオで紹介しながら、「昔の外科手術と大きく違って、いまはモニター画面を見ながら手術を進め、ほんの少ししか出血しない」などと解説しました。
研修会の後半の討論では、このビデオを子どもに見せることについて意見交換しました。賛否があった中で、参加者から「結局、がん教育の目的が何なのか、現状でははっきりしていないことが問題では」との指摘もありました。
さらに、がんの知識を伝えるのか、命の大切さにポイントを置くのか。知識にしても、発がんのメカニズムなのか、生活習慣との関係なのか。学習課程のどの段階でがん教育を行うのかなど、多くの課題が提示されました。
奥仲教授の講演に先だち、小西宏・日本対がん協会元マネジャーが「がん教育~子どもたちにどう伝えるか」と題して、対がん協会の取り組みを紹介。教育現場の悩みにこたえられるよう、がん教育支援プログラムづくりを進めることなどを話しました。